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工業製品製造業で特定技能外国人を採用するには|中小製造業向けの条件・メリット・注意点

2026年10月9日

組立、検査、機械加工など、製造現場を支える人材の確保は、多くの中小製造業にとって重要な経営課題です。新卒採用や中途採用だけでは人員計画を立てにくく、派遣や短期採用に頼ると教育コストや定着面の課題が残ることもあります。

こうした状況の中で、工業製品製造業分野でも活用が進んでいるのが、在留資格「特定技能」を活用した外国人材の採用です。特定技能は、一定の技能水準と日本語能力を満たした外国人材を、対象分野・業務区分の範囲内で受け入れる制度です。

本記事では、10〜100名規模の中小製造業を想定し、工業製品製造業分野で特定技能外国人を受け入れる際の基本条件、メリット、導入時の注意点を整理します。あわせて、インドネシア人材を検討する際に確認しておきたいポイントも紹介します。

確認日時点の注意
本記事は2026年9月時点で公表されている情報をもとに作成しています。特定技能制度の対象業務、申請書類、試験制度、JAIMの入会手続き等は変更される場合があります。実際の受け入れにあたっては、出入国在留管理庁・経済産業省・JAIM等の最新情報をご確認ください。


中小工業製品製造業が直面する人手不足の現実

日本の製造業、特に地方の中小企業では、現場職の採用難が続いています。厚生労働省の一般職業紹介状況でも、製造業の新規求人は増加傾向が示されており、人材確保の競争は今後も続くことが見込まれます。

従業員10〜100名程度の中小企業では、限られた採用予算の中で、必要な技能を持つ人材を長期的に確保することが課題になります。特に、機械加工、組立、検査、金属表面処理などの現場では、既存社員の高齢化や若手人材の不足により、採用方法の見直しが必要になるケースがあります。

その選択肢の一つが、特定技能制度を活用した外国人材の採用です。



工業製品製造業分野で特定技能を活用する理由

特定技能制度は、人材の確保が難しい産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人材を受け入れるための制度です。工業製品製造業分野では、受け入れ可能な事業所の産業分類と、外国人材が従事できる業務区分が定められています。

工業製品製造業分野では、特定技能1号の業務区分が複数設けられています。たとえば、機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理などの区分があり、実際に受け入れが可能かどうかは、事業所の日本標準産業分類と、従事させる業務内容の組み合わせで確認します。

確認項目主な確認内容
対象事業所工業製品製造業分野で定められた日本標準産業分類に該当しているか。
業務区分従事予定の作業が、特定技能1号・2号の対象業務区分に含まれるか。
雇用形態原則として直接雇用であること。派遣的な運用や対象外業務への従事は不可。
JAIM入会特定技能所属機関としてJAIMへの入会手続きが必要。
支援体制1号特定技能外国人を受け入れる場合は、支援計画の作成・実施が必要。

なお、工業製品製造業分野の特定技能2号は、すべての1号業務区分が対象になるわけではありません。2026年9月時点では、2号の対象は機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理の3区分とされています。長期雇用やキャリアアップを見据える場合は、採用時点で2号移行の対象区分かどうかも確認しておくことが重要です。

参考)出入国在留管理庁「工業製品製造業分野」

https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/manufacturing.html

参考)経済産業省「工業製品製造業分野で外国人の受入れ可能な産業分類・業務区分」

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/gaikokujinzai/ukeiretaisyou.html



中小企業だからこそ特定技能を検討しやすいポイント

1. 小人数から導入しやすい

特定技能は、必ずしも大人数で一括採用する制度ではありません。1名から採用を検討し、現場の受け入れ体制や定着状況を見ながら、段階的に人数を増やすことができます。

2. 現場との距離が近く、教育・フォローを行いやすい

中小企業では、社長や工場長が現場に近い距離で関わることも多く、仕事内容や職場ルールを直接伝えやすい環境があります。初期教育や生活面の相談についても、登録支援機関と連携しながら仕組み化することで、受け入れ後の不安を減らしやすくなります。

3. 採用ルートを増やすことで人員計画を立てやすくなる

日本人採用、派遣、人材紹介だけに頼るのではなく、特定技能を採用ルートの一つとして持つことで、欠員補充や将来的な技能継承の選択肢を増やせます。



インドネシア人材を検討する際のポイント

特定技能制度では、複数の国籍の人材が対象になります。その中で、インドネシア人材は、若年層の多さや日本語学習者の多さ、現地の送出し体制などを背景に、製造業でも採用候補として検討される機会が増えています。

ただし、国籍だけで「勤勉」「忍耐強い」「製造業に向いている」と一律に判断するのは適切ではありません。実際の採用では、本人の職歴、技能試験の区分、日本語力、希望条件、生活環境への理解などを個別に確認することが重要です。

確認したい主なポイント
  • 応募者が従事予定業務に対応する技能・経験を持っているか
  • 日本語での安全指示、報告、相談がどの程度できるか
  • 地方勤務、寮生活、通勤方法、勤務シフトへの理解があるか
  • 宗教・食事・礼拝など、生活面で必要な配慮を事前に確認できているか
  • 1号から2号への移行を見据える場合、対象業務区分や本人のキャリア希望が合っているか

国際交流基金の2024年度海外日本語教育機関調査では、インドネシアの日本語学習者数は732,914人とされており、日本語学習の裾野が広い国の一つです。採用時には、このような背景も踏まえつつ、候補者ごとの日本語力や学習意欲を丁寧に確認するとよいでしょう。



導入時の課題と注意点

言語面:現場用語を見える化する

製造現場では、「曲げる」「削る」「締める」「検査する」「止める」など、短い指示語が安全に直結します。入社直後は日本語能力に差があるため、作業手順書、写真付きマニュアル、ピクトグラム、動画などを活用し、現場用語を見える化しておくと教育しやすくなります。

安全面:前提知識があると決めつけない

技能試験や実務経験があっても、設備の種類、作業標準、安全ルールは企業ごとに異なります。国籍や経験の有無にかかわらず、危険箇所、非常停止、保護具、報告ルールなどは初期教育で丁寧に確認する必要があります。

制度面:対象業務とJAIM入会を早めに確認する

工業製品製造業分野では、事業所の産業分類と業務区分の確認、JAIMへの入会、支援計画の作成、在留資格申請など、採用前に整理すべき手続きがあります。採用決定後に確認を始めると入社時期が遅れることもあるため、求人を出す前の段階で確認しておくとスムーズです。



導入イメージ

以下は、工業製品製造業分野で特定技能人材を活用する場合の一般的な導入イメージです。実際の効果は、業務内容、候補者の経験、受け入れ体制、教育方法によって異なります。

ケース1:組立・検査工程の人員不足に対応する場合

従業員50名規模の電子部品製造企業で、繁忙期の組立・検査工程の人員不足が課題になっているケースです。特定技能人材を2名採用し、写真付き作業手順書とOJT担当者を整備することで、入社後の教育負担を分散できます。

短期人材を毎回教育する運用から、継続的に育成する運用へ切り替えることで、作業品質やシフト調整の安定化につなげやすくなります。

ケース2:機械加工工程の技能継承を進める場合

精密金属加工企業で、旋盤やNC工作機械を扱う職人の高齢化が進んでいるケースです。機械金属加工区分に対応する人材を採用し、基本操作、安全確認、寸法検査、段取り補助などを段階的に教育していくことで、将来的な技能継承の候補者を育てることができます。



まとめ:特定技能は中小製造業の採用ルートを広げる選択肢

工業製品製造業分野での特定技能外国人の採用は、単なる人手不足対策にとどまらず、採用ルートの多様化、現場教育の仕組み化、将来的な技能継承にもつながる選択肢です。

一方で、対象業務、産業分類、JAIM入会、在留資格申請、支援体制など、事前に確認すべき制度上のポイントも多くあります。初めて受け入れる場合は、特定技能に詳しい人材紹介会社や登録支援機関に相談しながら進めると安心です。

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