特定技能「農業分野」とは?受け入れるための条件やメリット、採用の流れを解説
2026年8月5日

農業では、人口減少や高齢化により新たな担い手が減少しており、安定した人材確保が年々難しくなっています。そのような状況の中、人手を確保するための選択肢の一つが、特定技能制度を活用した外国人材の受け入れです。
「特定技能」は国内人材の確保が困難となっている16の産業分野で、一定の専門的な技能と日本語能力を有する外国人材を受け入れるために創設された在留資格です。
農業は16分野のひとつに指定されており、耕種農業区分では、栽培管理、農産物の集出荷・選別等の農作業に、畜産農業区分では、飼養管理、畜産物の集出荷・選別等の農作業に従事することができます。
本記事では、農業分野で特定技能外国人を受け入れるための条件や対象となる業務、採用の流れについて、わかりやすく解説します。
※本記事は2026年7月10日時点での公表情報をもとに作成しています。制度の内容や必要書類等は変更される場合があります。受け入れや申請を行う際は、再度、出入国在留管理庁、農林水産省、農業特定技能協議会などで最新情報をご確認ください。
特定技能「農業分野」とは?
特定技能は、国内の深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門的な技能と日本語能力を有する外国人材の受け入れを目的として創設された在留資格です。2026年7月10日現在、16の産業分野で受け入れが可能となっています。
参考:出入国在留管理庁「特定技能制度」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html
16分野のひとつ、農業分野では、特定技能1号と2号が設けられており、1号は現場業務に従事しますが、実務経験と熟練した技能を持つ2号は、現場作業に加えて管理業務も担うことができます。
また、1号は通算で最長5年の在留が可能ですが、2号は在留期間の更新回数に上限がなく、家族の帯同も可能なため、要件を満たして更新が認められれば、長期にわたって働き続けることができます。
農業分野で従事可能な業務
耕種農業区分:栽培管理、農産物の集出荷・選別等の農作業
従事可能な主な業務
・各作物に応じた土壌づくり
・施肥作業
・種子、苗木の取扱い
・資材、装置の取扱い
・栽培に関する作業
・安全衛生業務 等
畜産農業区分:飼養管理、畜産物の集出荷・選別等の農作業
従事可能な主な業務
・各畜種に応じた器具の取扱い
・個体の取扱い、観察
・飼養管理
・生産物の取扱い
・安全衛生業務 等
上記以外に、除雪作業、農畜産物の加工、運搬、陳列、販売など、耕種農業又は畜産農業の業務に従事する日本人従業員が通常行うとされる関連業務も行うことができますが、関連業務だけに専従させることはできません。
特定技能1号・2号人材の基本要件(農業分野)
特定技能1号
・技能水準:「1号農業技能測定試験(耕種または畜産)」に合格、もしくは「技能実習2号」を良好に修了している
※技能実習2号を良好に修了した人材は、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合、一定の条件を満たすことで、技能試験や日本語試験が免除される場合があります。
・日本語能力:「国際交流基金日本語基礎テスト (JFT-Basic)」のA2レベル以上、または「日本語能力試験 (JLPT)」のN4レベル以上
・在留期間:通算で最長5年
・家族の帯同:不可
特定技能2号
・技能水準:「2号農業技能測定試験」に合格している
・実務経験:農業の現場において複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験(2年以上)、もしくは農業の現場における実務経験(3年以上)を満たしている
・在留期間:在留期間の更新回数に上限がない
・家族の帯同:可能
特定技能2号を取得するには、現場での実務経験を満たす必要があります。1号で採用した人材に、2号への移行を見据えたキャリアパスを示すと、人材の定着や長期雇用につながりやすくなります。
受け入れ企業・農家が満たす必要のある主な条件
・同一労働者を一定期間以上(6か月以上)雇用した経験又はこれに準ずる経験があること
・1号で受け入れる場合は支援計画を作成し、必要な支援を実施すること
・農業特定技能協議会の構成員になること
・適切な雇用契約を結ぶこと
特定技能制度では直接雇用が原則ですが、繁忙期と閑散期がある農業分野では、派遣形態での受け入れも認められています。
ただし、派遣形態で受け入れる場合、派遣元事業者にも要件が定められているため注意が必要です。
在留諸申請を行う際に、農業特定技能協議会の構成員であることの証明書を提出する必要があります。農林水産省の案内よると、加入申請からおおむね2週間程度で加入通知書が送付されるとされていますが、状況により前後するため、早めに加入手続きを行うことをお勧めします。
参考:農林水産省「在留資格『特定技能』について(農業分野)」
https://www.maff.go.jp/j/keiei/foreigner/new.html
特定技能人材採用の3つのメリット(農業分野)
1. 農繁期と農閑期を見据えた要員計画を立てやすい
農業では、作付け期や収穫期などの繁盛期と、冬などの閑散期があり、季節によって作業量と必要な人手が大きく変わります。そのため特定技能制度では、直接雇用だけでなく派遣形態の雇用も認められており、農繁期と農閑期を見据えた要員計画が立てやすくなります。
2.基礎知識や一定の技能を身につけている人材を採用できる
特定技能人材は農業技能測定試験に合格しており、農業に関する基礎的や技能を持っていることが証明されています。
個人差はありますが、全くの未経験の人材を採用する場合に比べて現場教育を進めやすく、早い段階での戦力となりやすい点があります。
3. 中長期的に戦力になること期待ができる
1号は通算で最長5年の就労が可能ですが、2号に移行すれば、在留期間の更新回数の上限がなくなり、要件を満たし更新を続ける限り日本で働き続けることができます。2号を取得するには実務経験を積む必要があるため、1号での採用後に2号への移行を見据えたキャリアパスを示すと人材の定着につながり、中長期的に戦力となることが期待できます。
採用の基本的な流れ
STEP1:業務内容・要員計画・雇用条件の整理
自社の状況や任せたい業務が受け入れ対象に該当するかを確認し、雇用方法や雇用条件を整理します。
STEP2:人材紹介会社・登録支援機関の選定
自社のみで行うことも可能ですが、特定技能制度は手続きや管理が複雑で、必要書類や実施すべき項目も多いため、登録支援機関の認定を受けている人材紹介会社を利用することをおすすめします。
STEP3:候補者の募集・面接・内定
人材紹介会社に求人票を提出し、その後、自社にマッチした候補者リストを受け取り、書類選考やオンライン面接を経て採用を決定し、雇用契約を締結します。
STEP4:受け入れ体制の整備と農業特定技能協議会への加入申請
1号で受け入れる場合、支援計画を作成し、必要な支援を行うことが義務付けられています。そのため支援体制を整備し、在留諸申請に備えて、農業特定技能協議会への加入手続きも行っておきます。
STEP5:在留資格申請・入国
必要書類を準備し、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行います。新たに海外から呼び寄せる場合は、交付後本人に郵送し、ビザ申請、発給、入国へと進みます。
STEP6:入社・就労開始・支援の実施
生活オリエンテーションを実施し、就労開始となります。就労開始後は支援計画に基づいた支援も行っていきます。
よくある質問
Q. 農業法人ではなく、個人農家でも受け入れが可能ですか?
A.同一労働者を一定期間以上雇用した経験や法令厳守、適切な雇用条件、農業特定技能協議会加入など、必要とされる要件を満たせば個人農家の方でも受け入れ可能です。
Q. 受け入れ人数に上限はありますか?
A.特定技能1号の農業分野では、事業者や事業所単位の人数上限は設けられていません。ただし、事業規模と支援体制に見合った人数で受け入れることをお勧めします。
Q. 派遣で受け入れることはできますか?
A. 特定技能制度では直接雇用が原則ですが、農業分野では、繁閑の差に対応するため、派遣形態での受け入れも認められています。ただし、派遣形態で受け入れる場合、派遣先事業者も必要な要件を満たす必要があります。
Q. 支援業務はすべて自社で行わなければなりませんか?
A. 特定技能外国人1号を受け入れる場合、外国人材が安心して生活や就労ができるよう、定められた支援を行うことが義務付けられています。そして、受け入れ機関からの委託により支援の実施を代行できるのが登録支援機関になります。
そのため、自社のみで行うことが難しい場合、登録支援機関に委託する方法もあります。
Q. 日本語でのコミュニケーションは可能ですか?
A. 特定技能の在留資格を取得するためには、日本語能力試験(JLPT)N4レベル以上、もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2レベル以上が求められます。これらは「基本的な日常生活での日本語を理解できる」レベルとされており、個人差はありますが、日常会話や簡単な業務指示であれば日本語でのコミュニケーションが可能です。
少子高齢化や地方の過疎化により、人手不足の深刻化が懸念されている農業で、特定技能外国人の受け入れは、有効な選択肢になります。
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